少数株主の権利

少数株主の保護の必要性

株式会社では資本多数決が採用されているため、多数派の株主が少数派の株主(少数株主)を犠牲して自己の利益を追求する可能性があります。そこで、会社法は、少数株主を保護するための規定を設けています。

少数株主を保護するための規定

少数株主を保護するための主な規定をまとめると次のとおりとなります。株式の保有割合(数)の制限については、法律上の規定を下回る割合または個数を定款で定めた場合には、定款で定めた割合または個数が株式の保有割合(数)の制限となります。

保有割合(数)の制限 保有期間の制限 権利等の内容
制限なし 制限なし 株主名簿の閲覧・謄写請求
(会社法125条2項)

新株予約権原簿の閲覧・謄写請求
(会社法252条2項)

計算書類等の閲覧謄本交付請求
(会社法442条3項)

株主総会議事録の閲覧・謄写請求
(会社法318条4項)

取締役会議事録の閲覧・謄写請求
(会社法371条2項)

監査役会議事録の閲覧・謄写請求
(会社法394条2項)

委員会議事録の閲覧・謄写請求
(会社法413条3項)

株主総会等の決議取消しの訴え
(会社法831条)

会社の組織に関する行為の無効の訴え
(会社法828条)

新株発行・自己株式処分の差止請求
(会社法210条)

新株予約権の差止請求
(会社法247条)
制限なし 公開会社
6ヶ月間継続保有

それ以外の会社
制限なし
株主代表訴訟の提起
(会社法847条)

取締役の違法行為差止請求
(会社法360条)

執行役の違法行為差止請求
(会社法422条)
総株主の議決権の100分の3以上
公開会社
6ヶ月間継続保有

それ以外の会社
制限なし
株主総会の招集請求
(会社法297条1項)

株主総会の許可召集
(会社法297条4項)
総株主の議決権の100分の3以上
または
発行済株式総数の100分の3以上
公開会社
6ヶ月間継続保有

それ以外の会社
制限なし
役員の解任の訴えの提起
(会社法854条)
総株主の議決権の100分の3以上
または
発行済株式総数の100分の3以上

制限なし 会計帳簿の閲覧・謄写請求
(会社法433条)

業務の執行に関する検査役の選任請求
(会社法358条)
総株主の議決権の100分の10以上
または
発行済株式総数の100分の10以上
制限なし 会社解散の訴えの提起
(会社法833条)
総株主の議決権の100分の1以上
公開会社
6ヶ月間継続保有

それ以外の会社
制限なし
総会検査役の選任請求
(会社法306条)
総株主の議決権の100分の1以上
または
300個以上の議決権
(いずれも取締役会設置会社のみ)
公開会社
6ヶ月間継続保有

それ以外の会社
制限なし
株主提案
(会社法303条)

議案の要領の通知請求
(会社法305条)

会社から退出するための規定

少数株主を保護するために会社法はいくつか規定を用意していますが、かかる規定だけで少数株主の保護を完全に図ることができない場合もあります。そのような場合には、少数株主は会社から退出(株式を売却)することで、経済的な面での救済を受けることができます。

株式譲渡自由の原則
株式は自由に譲渡できるのが原則です(会社法127条)。しかし、譲渡制限が付されている場合には、会社の承認を得なければなりません。譲渡承認請求については、譲渡承認請求をご覧ください。
反対株主の株式買取請求
会社が一定の事由を行う場合に、要件を満たした株主が会社に対して自己の有する株式を買取るように請求できる制度です。株式買取請求は会社が行った行為の当否に関係なく行使できる権利ですので、少数株主の経済的な面での救済につながる制度です。株式買取請求については、株式買取請求をご覧ください。